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5th elementとは「知識」を意味します。
私たち5th elementは、世界最大のユースカルチャーと呼ばれるヒップホップに着目し、その4大要素であるDJ、MC、ブレイクダンス、グラフィティアートに加え、近年新たなエレメントとして加えられつつある 「知識」を取り上げ、音楽を通じて、身の回りや世界で起きている社会問題を直に感じ取ってもらえるように上映・ディスカッションなどの学び合いを行っています

ABOUT US |私たちについて

 今や世界中で共通言語となった「ヒップホップ」。
ヒップホップといえば誰でも「ラップ」、「グラフィティ」、「DJ」や「ダンス」を連想すると思います。しかし、ヒップホップに不可欠な要素である「社会的行動」の大切さが最近では忘れられているようです。

 そもそも、その精神はゲットーで貧しい人々がヒップホップを生み出すはるか以前、アメリカに奴隷船が到着した時代にまでさかのぼって考えなければなりませ ん。日本の江戸時代に当たる17世紀から19世紀に、労働力として多くの人々が、故郷であるアフリカの地から言葉や宗教や音楽といった文化を奪われ アメリカに連れてこられました。そして何も持たない状況に置かれていた黒人奴隷たちは、奴隷主への反抗精神からまずは自分たちの言葉(エボ二クス)を生み 出しました。しかし、1862年にリンカーンが奴隷解放宣言をしても、黒人の社会的立場は良くなるどころか、南部ではかえって差別が厳しくなって行きまし た。
 
  そんな中で、当初はゴスペルなどを歌うことで農作業などの苦しさを紛らせていた彼らも、1950年頃からブルースやソウルを通じて音楽の分野で徐々に社会 進出を果たし、自分たちの力で社会的不平等を変える必要性に気づき始めました。また、自律した生活を行うことで自分に自信を取り戻そうと、マルコムXをは じめ多くの黒人の若者が、「アフリカ回帰」を唱えるネイション・オブ・イスラムに入信しました。1960年代のキング牧師の公民権運動を陰で支えたのは、 こうした抑圧され不当な扱いをされている黒人の思いだったのです。

 1970年代になると、社会の底辺に追いやられていた黒人の若者が中心となり、音楽やダンスやグラフィティなどの自己表現を通じて社会に自分達の存在を示 そうとする動きが、ブロンクス地区などで活発になりました。これが「ヒップ・ホップ」と呼ばれる一つの文化を生み出したのです。

 2009年の大統領選挙戦では、カニエ・ウエストを始め数々のヒップホップ・アーティストがオバマ氏を応援し、若者に選挙への参加を呼びかけました。そう した活動がアメリカの「ヒップ・ホップ」世代の若者の政治意識を目覚めさせ、政権交代の大きな原動力のひとつとなったのです。

 しかしその一方で、若者の抵抗手段だったヒップホップが「売れる」文化のひとつとして商業主義化が進むと、本来の意味を離れ「暴力と麻薬、女性蔑視」と いったイメージで世界中に広がって行ってしまいました。日本の10代の若者にとっても、ヒップホップは「格好良く踊れる音楽」であり娯楽のひとつに過ぎな くなっているようにみえます。

 わたしたちが最初に翻訳したドキュメンタリー「ヒップホップ―その裏にあるもの」は、アメリカの大学などで、過度に商業主義化されてしまったヒップホップに疑問を投げかけることで、自分達の歴史を学びヒップホップ本来の姿を知り、自分が現在置かれている立場を理解し誇りある自分を取り戻すための教材として授業で使われています。

 日本でも人気の「ヒップホップ」が、実は社会に対する考えを表現する手段であることに気付けば、学習内容の削減と画一的なマスメディアの報道、社会構造の 急激な変化によって自分の生き方に自信を持てない日本の若者も、社会で自分が置かれている立場を理解し社会に対する考えを持つきっかけをつかむことができ るようになると思います。

 私達5th-elementは、「知識」を身につけることで、現在の若者に欠けている「社会的行動」を促すことができると考えています。そして、ヒップ ホップを通して、一人ひとりが自尊心を持って社会をより良い方向に変えていく力を育てる手助けができるという信念から、アメリカのズールーネイション 【注】の日本支部であるズールーネイション・ジャパンの協力を得て活動を行っています。

 翻訳したドキュメンタリー作品を通じて、日本の若者の意識を変える良いきっかけになってくれることを願ってやみません。

 

5th-element.jp 一同  



【注】1970年代後半にアフリカ・バンバータが中心になって結成した組織。ヒップホップを通じた若者の啓蒙活動を目的としている。日本、フランス、イギリス、オーストラリア、韓国など世界各地に支部がある。

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